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執筆者の写真貴之 辻

古民家美容室ができるまで⑧

京都市下京区「桝掛美容店」店主の辻です。


さて話が長くなる暖簾ですが、

実は物件探しの希望条件に「暖簾が合う雰囲気」というのもあったんですね。

ここは気合い入ったのが欲しいところ。

でも、


そもそも暖簾てどこで買うのか知ってます?


またネットを徘徊してみたんですよね。

色々出てきました。


お安くて早いところ、工房さんがしっかり作ってくれそうなところ。

調べた結果、お安いところはポリエステル素材のインクジェットプリント的なの、

工房さん系は天然素材で染め物。

しっかりしたのが欲しいいんですけど、不安な点。


いくらするのか分からん。


お安いところは価格の表示があるんですが、

本気系のところは書いてないんですよね。怖いですよね。

でもオーダーするなら対面で話しを聞いてくれたり、

ある程度の現物を見て決めたかったんです。アナログ人なんで。


なので京都にあるところで二件、思い切って電話で問い合わせしてみました。

一件は対面不可。

もう一件は一度来て下さい、とのことだったので、

勢いでその日に伺いました。


ビビりながら行ったんですが、大変親切でした。


暖簾て高貴なイメージがあって、何かセオリーみたいなのがあるのかと。

見る人が見たら恥ずかしい感じになってしまわないかと。

心配なので、一通り教えていただきました。


聞いたところ一般的に幅は間口に合わせる、長さは130cmていうのが標準らしいです。

これを短くするとオープンな感じ、長くすると敷居が高い、となるそう。

お店で例えられたんですが、ふらっと入れる焼き鳥屋さんとかは60cm以下の胸上くらい、

一見不可のお茶屋さんだと160cm以上。もうくるぶしとか。

短い方が入りやすさはあるんですが、長い方は変な酔っ払いとかが来ないそうです。


素材も色々あり、

絹、帆布、麻、究極に天然風なポリ。

絹は透ける、柔らかい素材なので優しげな感じ。

帆布は全く透けない、ハリのあって分厚いのでどっしり感。

麻はやや透ける感じ、少しパリっとした感じで中間くらい。

ポリは麻に近い感じでした。


あとは色。

白にすると決めてはいたんですが、

漂白した純白、そのままの生成り、ややアイボリーぽく染めたオフホワイト。

これについては、暖簾自体を主張させたいのか、馴染ませたいのか。

浮かせたいなら純白。馴染ませたいなら生成りやオフホワイト、といった感じ。


そして、うちの場合は問題が一つあり、

ロゴの線が細いから染めでいくならにじむ可能性があると。

ここは素材との絡みもあるそうで、

絹のような繊維が細かい場合だと滲みが少なく、

帆布のように繊維が粗いと滲む可能性が上がるそうです。


なるほど。しかし染めでいきたい。

そこそこ恥ずかしくないのにしたいから。


ロゴの線を太く作り変えますか、という提案もあったんですが、

字体や線の細さも計算されて作られてるロゴなので、


それをすると違うデザインになってしまう。


ということで素材は麻にして、

できるだけ滲みの少ないシルクスクリーンという

版画みたいな技法でやっていただくことに。

ちなみに麻を選ぶと価格アップです。


あとはちょっとカッコつけて長めにしたい、という希望に合わせて、

少し長めの150cm。

美容室は基本予約制なんで大丈夫でしょうとのこと。

色はオフホワイトで馴染ませる感じにしていただきました。





なんだかんだ教えていただいたおかげでいいものができました。

問題だった滲みもほとんど感じなく、気に入っております。

天然素材は経年で良さも出てくるとので、大事に育てようと思います。

ロゴも最高ですね。





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